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■  相続放棄者の相続財産に対する管理義務
    -すべての相続人が相続放棄を行ない、相続人がいなくなった場合はどうなるか。
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1 相続法の定め
(1) 民法918条1項本文―「相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない。」

相続人は、相続開始により相続財産を承継し、相続財産の管理義務を負う。
つまり、相続人は、相続の承認か放棄かのどちらかを決める熟慮期間中、
「自己の固有財産におけると同一の注意をもって」相続財産を管理すべき義務がある。

(2) 民法918条1項ただし書き―「ただし、相続の承認又は放棄したときは、このかぎりでない。」

相続の承認があったときはもとより、相続放棄によって相続の効果を確定的に消滅させたときは、相続財産の管理義務も消滅する。

(3) 民法940条1項―「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、
自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

相続開始後に相続財産の現実の管理を行っていた相続人Aが相続放棄をしたような場合、
他の共同相続人や次順位相続人が直ちに相続財産の管理を始めることができるとは限らず、
相続放棄者Aが管理義務の消滅に伴い相続財産の管理も放棄してしまうことになれば、
相続財産は管理者不在の財産として放置されかねない。
そこで、他の相続人、次順位相続人、相続債権者、受遺者などの利益のために、
相続放棄者は放棄後も
「放棄によって相続人となった者(次順位者相続人のみならず、他の共同相続人も含むと解されている)が相続財産の管理を始めることができるまで」
相続財産の管理を継続すべきことが定められた。


2 事例

設問:
被相続人が多額の借金を有し債務超過の場合で、第1順位の相続人である子が相続放棄をし、
第2順位の相続人である親も死亡しているか放棄をし、
更に第3順位の相続人である兄弟姉妹、甥姪もすべて相続放棄を行い、
相続人がいなくなった場合、相続財産の管理義務は誰が負い、
それはいつ消滅することになるか?

回答:
第1順位の子が相続放棄をしたとしても、第3順位の兄弟姉妹、
甥姪が相続財産の管理を始めることなく相続放棄をして相続人不存在になった場合には、
相続財産管理人が選任されるまで、
第1順位の子が相続財産の管理を継続しなければならないと解される。

第3順位の相続人が相続財産の管理を始めれば、
第1順位の相続人の相続財産の管理継続義務はなくなるが、
通常は、第1順位の相続人の相続放棄の後に
第3順位の相続人が相続財産の管理を始めることはない。

なお相続財産管理人の選任は、相続債権者が債権を回収するために申立てるのが通例なので、
相続財産管理人が選任されないまま、
相続放棄者の相続財産管理義務が継続することはよくあることである。
また相続放棄者が、相続財産管理人が選任されるまで、
住宅ローンも家賃も支払わず、固定資産税も支払わずに、
相続財産である居宅に住み続けることもよく見かけることである
(さすがに、電気、ガス、水道代は、生活しているので、支払っているが。)。

また第1順位の相続人の誰もが相続財産の現実の管理を行っていない中で
相続放棄をすることも多いが、
この場合は、第1順位の相続人全員が相続財産の管理義務を負うことになり、
それが前提での相続放棄になる。


(弁護士 鈴木忠司)



※このコラムは2018年3月にメールマガジンで配信した内容と同一です。

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