【法務コラム】祝福される熟年再婚の方法は?…配偶者居住権や民事信託の利用…
- 2019.08.08
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 祝福される熟年再婚の方法は?…配偶者居住権や民事信託の利用… ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ A(B弁護士の後輩)「B先生!中学校の同級会で久しぶりに再会したC子と再婚することになりました! B(弁護士)「それは、おめでとう!Aさんは、奥さんに先立たれて男手一つで息子D男君を立派な社会人に育て上げたのだから、後はC子さんと幸せな余生を送れるとよいですね。 A「ところが、D男が、C子は良い人だと思うが相続のときに揉めないか心配だと言って入籍に反対しているので、どうしらよいか悩んでいるんです… B「相続についてどんなことを心配しているんですか? A「私の自宅について、御先祖様から引継いできたものなので、ゆくゆくはD男に相続させたいと思っているのですが、C子と再婚したらC子も相続人になるので、仙台市の中心部で地価も高いので揉めるのではないかと心配しているんです。 B「自宅はD男に相続させる。という遺言をしてD男を安心させるのはどうですか? A「それも考えたのですが、私が先に死んだらC子をD男が追い出したりしないかC子が心配していて…。 私が先に死んだら、自宅をまずC子に相続させ、C子が死んだら息子のD男に相続させるという遺言はできないでしょうか? B「残念ながら、そのような遺言は認められていないのです。ただ、今度の相続法の改正で認められた配偶者居住権を利用すると、C子さんとD男君の心配を無くせるかもしれませんよ。 A「配偶者居住権とはどんなものなのですか?また、どのように利用すると良いのですか? B「配偶者居住権とは、亡くなった人が所有の建物に居住していた配偶者に、遺産分割や遺言で終身又は一定期間その使用を認める権利なのです。 あなたの場合なら、自宅について、C子さんに終身の配偶者居住権を、D男君に所有権を相続させるという遺言を行えば、C子さんは死ぬまで自宅に居住することができ、D男君も自宅の相続に関してC子さんと揉めることもないので、二人とも安心ですよ。 A「なるほど。 B「ただ、配偶者居住権は、成立はしたものの施行されて利用できるようになるのが2020年7月頃になりそうで、現在はまだ利用できません。 A「それは残念!他に何かよい方法はありませんか? B「最近、話題となっている民事信託を利用するとよいかも知れませんね。 A「信託銀行に頼むのですか? B「いや、信託銀行ではなく、D男君に頼むのです。 「信託」とは、読んで字のごとく、自分の財産の管理・処分を、相手を「信」じて「託」すことなのですが、以前は、家族に託すことは難しかったのですが、2006年の改正で家族に託すことも行いやすくなり、家族信託や民事信託と呼ばれていろいろな場面で利用され出しているのです。 A「私の場合は民事信託をどのように利用すればよいのですか? B「あなたが所有する自宅について、あなたやC子さんが死ぬまで安心して住み続けることができるようにすることを目的とし、その管理をB男君に委託する信託を行うのです。 そして、その信託目的で自宅の所有権はB男君に移転してしまい、あなたやC子さんは死ぬまで自宅に住み続け、 お二人が死亡したら信託は終了し、自宅は完全にB男君のものになるようにするのです。 A「少し難しいですね…。 B「確かに難しいかもしれませんので、私の方からお二人に説明しましょう。 近いうちにお二人を事務所に連れて来て下さい。 お二人の話しも聞きながら、あなたの再婚がみんなに祝福されるようなよい方法を考えましょう。 A「ありがとうございます!早くC子と再婚したいので、よろしくお願いします。 (弁護士 官澤里美)
















